MONOZUKURI HARDWARE CUP 2022が開催! 優勝はSUN METALON社
開催概要
モノづくり起業推進協議会が主催するピッチコンテスト「Monozukuri Hardware Cup 2022」が2月25日に開催されました。
このピッチコンテストは「世界を舞台に活躍する日本のモノづくりスタートアップ企業の登竜門」と位置付けられていて、ピッチと質疑応答が全て英語で行われます。例年であれば上位3チームが米国で開催される「Hardware Cup Final」への出場権または出展権が与えられます。今年はコロナ禍ということもあり日本国内のみの開催となりましたので、新たに米国のベンチャーキャピタリストを審査員としてお迎えし、例年よりもさらにグローバルなイベントとなりました。
今回も京都のイノベーション創出拠点である「京都リサーチパーク」で執り行われ、多数の応募があった中から選ばれた計7社のファイナリストがピッチを繰り広げました。その様子について以下レポートをお届けします。
審査員
まずは審査員のご紹介です。今回の審査員長はサンブリッジグループCEOのアレン・マイナー氏が務めました。
審査員としては以下4名の方に参加していただきました。
- 村上 憲郎氏(村上憲郎事務所代表 / 前Google日本法人 名誉会長)
- ポール 与那嶺氏(セントラル・パシフィックバンク 代表取締役会長)
- イラーナ・ダイアモンド氏(米国Hardware Cup発起人 / 412ベンチャーファンドマネージング・ディレクター)
- シリル・エバースヴァイラー氏(SOSVジェネラルパートナー / HAXマネージングディレクター)
登壇スタートアップ
F.MED株式会社
F.MEDは非常に繊細な作業が求められるマイクロサージャリーをロボットで支援します。今回のシステムでは高剛性・高解像度・高速な操作が可能です。また、柔軟な手術セットアップとリラックスしたユーザーポジショニングを実現しており、将来的には遠隔操作も視野に入れています。2025年の製品リリースを目指しています。
東京ロボティクス株式会社
東京ロボティクスはMobile Gripperを新たに開発しました。Mobile Gripperはグリッパー、移動、リフトを一体化した世界で唯一のロボットです。狭いスペースでも稼働可能でインストールも容易な仕様になっています。現在、ハードウェアが完成しており、ソフトウェアを開発中です。
株式会社エルシオ
エルシオは「エルシオグラス」と名付けたメガネ用の、調整可能なレンズを開発しました。大阪大学で開発されたフレネル型液晶レンズの技術を用い、通常のメガネと同じ重さで、最も広い視野と度数を実現したのが特徴です。老眼用の手動式焦点調整眼鏡から始め、眼病撲滅や生活習慣病の早期発見のための医療機器につなげたいと考えています。
株式会社 SUN METALON
SUN METALONは革新的な金属3Dプリンターを開発しています。この3Dプリンターは、1日で250ほどのパーツを製造可能にしながら、コストは90%削減しています。また、2種類の金属を同時にプリント可能、製造過程で発生した廃棄物をリサイクル利用可能という特徴も持ち合わせています。現在は複数の日本企業とPoCを行っており、来年に製品をリリース予定です。
株式会社エアロジーラボ
エアロジーラボは120分以上の飛行が可能なハイブリッドドローンを提供しています。機体は炭素繊維プラスチックを使用しているため高い強度を持ちながらも軽量化を実現しています。また、ユニットで構成されているため、部品ごとの修理や交換が容易です。
株式会社パワーウェーブ
パワーウェーブは電力をワイヤレスで快適に供給できる製品を開発しました。この製品で走行中の充電も可能になります。そのため、充電時間がなくなり、より小さいバッテリーで済むため低価格化にもつながります。まずはゴルフカートのような特別車両から始め、最終的にはオープンエリアでの利用を目指しています。
株式会社AmaterZ
AmaterZはtukumoというIoTセンサーを開発しました。tukumoは充電不要でセンシングし続け、データを遠くへ送ることができる装置です。AmaterZ製以外の外部センサー取り付けも可能な設計になっています。現在はパートナー企業のニーズに合わせたデータ収集を行っており、今後は産業を超えた売上向上を目指しています。
結果発表
1位:株式会社 SUN METALON
2位:株式会社エルシオ
3位:F.MED株式会社
4位:株式会社AmaterZ
今年は4位まで発表され、上位3名には審査員から賞状が授与されました。入賞されたスタートアップの方々、おめでとうございます!
優勝者であるSUN METALONの瀧澤氏からは「ハードウェアのスタートアップはとても困難で長い道のりですが、今回このようなつながりを持ち、進展を共有できたことは非常に良い機会でした。今後も日本からものづくり分野で世界に対して影響を与えていきましょう。」とのコメントを頂きました!
総評
イベントの最後には、今回の審査員長であるアレン氏からメッセージを頂きました。
「今回登壇したスタートアップの質は今までで一番高いと感じました。実際に、私がプレゼン中にフォローアップミーティングの機会を持ちたいと思い、真剣に投資を考えたいと思った企業が複数あることは初めてでした。それほど、日本で生まれるスタートアップの質が上がり、競争も激しくなってきているのでしょう。スタートアップのみなさんは、より実現可能性が高く、チャレンジングで興味深いビジネスを追い続けてほしいと思います。それによって日本のスタートアップエコシステムも前進していくでしょう。
最後に、プレゼンター、審査員、その他このイベントに関わったみなさんに感謝します。ありがとうございました。」
交流会
ピッチコンテスト終了後は懇親会が行われました。今回はコロナ禍ということもあり、現地で参加されたスタートアップの方と審査員のみによる密を避けながらの開催にはなりましたが、皆さん交流を深めておられました。ハードウェアを開発するスタートアップが持つ共通の課題などの話題で盛り上がり、審査員からはそれぞれのスタートアップに激励の言葉がありました。
改めてご応募いただいた全ての皆さま、ご協賛いただきましたパートナー企業の皆さま、運営にご協力頂きました皆さまに感謝を述べさせて頂きます。本当にありがとうございました!