Monozukuri Hardware Cup2023開催、1st Prizeにフェムテック提供のオモテテ選出

Monozukuri Hardware Cup実行委員会(牧野成将会長=Monozukuri Ventures CEO)は3月3日(金)に、ピッチコンテスト「Monozukuri Hardware Cup(MHC)2023」をオンサイト(京都リサーチパーク)とオンラインで開催した。MHCは、日本のハードウェア・スタートアップのグローバル展開への登竜門として開催しており、今回で7回目。海外のベンチャーキャピタリスト(VC)を含む審査員を前に、英語によるプレゼンテーションで事業プランを披露した。

本戦に通過した7チームの中から、1st prize(第1位)にオモテテ、2nd prize(第2位)に大阪ヒートクールとLiberawareをそれぞれ選出。オモテテは、公共トイレの個室などで生理用品を取得できる利便性が評価された。上位受賞者は、5月1日~3日にピッツバーグで開催されるロボット・自動運転・AIのカンファレンス「The Cascadia Connect RAAI Conference」に参加し、海外VCなどに事業内容を提案する。

MHC2023ファイナリストと審査委員の皆さん

【上位4チーム】

1st Prize  オモテテ株式会社

2nd Prize 大阪ヒートクール株式会社

2rd Prize 株式会社Liberaware

※審査にかかる評価点が同点となり2rd Prizeを2件選出

【主 催】

Monozukuri Hardware Cup実行委員会

モノづくり起業推進協議会、Monozukuri Ventures、京都リサーチパーク、中小企業基盤整備機構 近畿本部、国際電気通信基礎技術研究所、京都大学イノベーションキャピタル、アドバイザー:京都信用金庫、事務局:日刊工業新聞社

【特別主催】京都リサーチパーク

【共 催】KYOTO MAKERS GARAGE

【協 賛】

京都リサーチパーク、村田製作所、ダッソー・システムズ、松尾産業、京都信用金庫、京都試作ネット、モノづくり日本会議

【審査員】

■Allen Miner, Founder & Chairman of SunBridge Corp

■Paul Yonamine, Chairman Emeritus of Central Pacific Bank and Central Pacific Financial Corporation

■Hana Jin, General Manager of SOSV

■Jun Suto, CEO & Solution Curator of S-CUBED Consulting

 

■1st Prize

生理ライフを快適にするサービス「unfre.」

【発表者】

オモテテ株式会社 共同創業者 取締役(CEO)髙堰 うらら 氏

外出先のトイレで、スマホの操作により生理用品を取得できるサービス「unfre. (アンフリ) 」を提供する。生理用品を提供するディスペンサーと、利用可能な施設を検索できるスマホアプリ、在庫管理システムから構成。月額料金またはサブスクリプション(定額制)に申し込むことで、提携する商業施設や公共施設のトイレ内で生理用品を取得することができる。

2022年には丸井グループやJR東日本グループなどと連携してオフィスやコワーキングオフィス内のトイレ内で実証実験を実施済み。実証実験で得た知見をもとに生理ナプキンの受け渡しなどのサービス改善に取り組み、2023年度内のサービス提供を目指す。

MHC2023では、自動販売機が広く普及したわが国の特徴を生かしたサービスであり、女性のための新たな公共インフラとなる可能性が評価された。

英語によるプレゼン力も評価されたオモテテの高堰さん

■2nd Prize

温冷同時刺激による“かゆみ”緩和デバイス

【発表者】

大阪ヒートクール株式会社 代表取締役 伊庭野 健造 氏

錯覚を用いたかゆみ緩和システム「ThermoScratch」を開発するスタートアップ。皮膚へ熱さと冷たさを同時に与えることで、ひっかきによる刺激など錯覚による痛覚刺激を提示するのが特徴。温度の再現にはペルチェ素子を利用。20℃程度の冷たさと40℃程度の熱さを皮膚に同時に与えることで「サーマルグリル錯覚」という痛覚刺激、すなわち、ひっかきを再現する仕組みとなっている。この刺激は錯覚であるため、実際に肌を傷つけることがなく、かゆみを解消することができる。

代表の伊庭野氏は、大阪大学大学院でプラズマ対向機器の熱設計などの研究に携わっており、この知見を活用してペルチェ素子を用いた同システムの開発につなげた。

アトピー性皮膚炎をはじめ深刻なかゆみで悩まされている世界中の人たちに役立つと期待されており、2024年のグローバル展開を目指す。

■3nd Prize

小型産業用ドローン

【発表者】

株式会社Liberaware CFO 内田 太郎 氏

屋内空間向け産業用小型ドローン「IBIS(アイビス)」を提供する。万一の衝突に対応する姿勢制御技術を搭載しており、障害物が多い狭所空間での安定飛行を実現したのが特徴。高感度カメラとLED光の搭載により暗所での撮影を可能としており、光量が少ない環境下での情報収集を可能にしている。加えて、スラスターの駆動部には完全密封型のモーターを採用しており、粉塵が舞う劣悪な環境下の飛行にも対応する。

撮影した動画データを基に、撮影個所の点群データを取得できるソフトウエアも開発。過去の点群データを比較・検証することで変化点を視覚的に表示することができ、こうした特徴によりボイラーやタンク、配管内などの点検業務で広く活用されている。設備保全のDX(デジタルトランスフォーメーション)化に寄与するとして評価された。